「社会福祉法人 松光会 地域密着型総合福祉施設 ふなおか」が完成しました
2022年2月、京都市北区に社会福祉法人 松光会様にご依頼いただいた「地域密着型総合福祉施設 ふなおか」が完成いたしました。設計開始から2年をかけたプロジェクトとなりました。一部とはなりますが建物について紹介したいと思います。構造は鉄骨造地下1階、地上4階建て、延べ面積は約2,300㎡となります。建物用途は、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、短期入所、小規模多機能型居宅介護などを併設した複合施設です。
この用途の組み合わせの理由は、有料老人ホームや小規模多機能の通い、短期入所に来られている要介護度の低いお年寄りの皆様が、将来重度化されたときに特別養護老人ホームに移行が可能であり、それまでの生活エリアを変えずに住み続けられることを目的としたためです。年を取ってから住む環境が変わった場合、顔なじみの人や歩きなれた町から離れるのは寂しく、新しい暮らしに順応するのはなかなか難しいものです。そういったことを少しでも軽くしたいとの想いも込められています。
建物全景です。1階部分はグレーのタイル貼り、2階より上部はベージュ系の吹付として、バルコニーの手すりを金属のフレームとガラス、そして西陣織模様のアルミパネルとして、安定間もありながら上部は軽やかな印象になるようにデザインしています。
館銘板廻りです。木目調の柔らかな雰囲気として、周りに植栽を施しています。植栽が育った時にはさらに良い雰囲気になると思います。
建物のメインエントランスです。グレーのタイルと板張りの玄関ドアが安定感を出しています。軒裏の格子が和風の雰囲気を出しながらこの部分がメインの出入り口である目印として設けています。
メインエントランスの風除室です。漆喰風の白い壁と天井に対して木目の建具と家具で柔らかさを出し、カウンター下のワインレッドのタイルをアクセントとして貼っています。近年の感染症対策として洗面台を設けています。左の木製の窓は事務室とつながっていて、来客の応対を行います。
1階の廊下です。壁の上半分の漆喰風の仕上げは風除室から連続させて、下半分は貼り分けています。これは、ストレッチャーや車いすなどが当たってクロスが傷んでも、下半分だけを貼りかえられるようにするためです。巾木の高さが30㎝と通常の建物や住宅より高いのも、車いすのフットレストが当たっても傷まないようにするための配慮です。天井は青いクロスにして空間を引き締める意味で使用し、腰壁の色と共に西陣の着物の配色からヒントを得ています。
小規模多機能の居間・食堂です。道路に面して広い窓を設けて明るく開放的で、換気も可能な気持ちの良い場としました。左のカウンターの向こうはキッチンがあり、カウンター上部のタイルはアクセントとして貼っています。正面の洗面台は車いすも使用可能なタイプとしています。その脇の格子扉は専用の玄関です。
特別養護老人ホームの3つのユニットと短期入所の玄関です。2,3階に特別養護老人ホームが3ユニットと短期入所が1ユニット設けられています。ユニットはお年寄りの方が住まわれる住居であり、その入り口部分には玄関としてあつらえた場所があります。各ユニットには名前があり、お施主様の意向で「紫野」「衣笠」「紫竹」「鷹峯」と名付けて頂きました。ユニット銘板の下地には今回のために新しく刷って頂いた京唐紙を貼り、名称の文字はお年寄りの方でも読みやすいはっきりとした色としています。扉の格子の柄も変えて、お年寄りの方が自分のユニットを判断する手助けとなるように配慮しています。
特別養護老人ホームの共同生活室(居間・食堂)です。日中は9~10人のお年寄りの方がくつろげる場です。窓をできるだけ大きくとり、開放的で明るい場所となるように設計しました。
ユニット内の廊下です。左には居室が並んでいます。各居室は個室で、扉の脇に暮らしておられる方の名前を貼ることが出来ます。その表札プレートの色も居室ごとに変えて、お年寄りの方が自分の部屋を判別する手助けとなるように配慮しています。
4階の有料老人ホームです。1~3階の木目より少し色を濃くすることで、雰囲気を変えて階の判別を行いやすくしています。こちらも窓を多く設けて、明るく開放的な場となるように配慮しています。右の窓の外は屋上テラスとなっています。
屋上テラスです。周囲にあまり高い建物が無いため、開放的な気持ちの良い場所となっています。天気が良い日にはここでくつろいでもらうことも可能ですし、植栽が大きくなれば雰囲気もさらに良くなると思います。周囲には桜の木もいくつか見られ、春には満開のきれいな桜が見えますし、五山の送り火もいくつか見えますので、それも楽しみの一つにしてもらって、ここでの暮らしを楽しんでもらえたらうれしいですね。
上から、介護用ユニットバス、ストレッチャータイプの介護浴槽、お年寄りの方が使用されるトイレです。
ユニットバスは座位が保てる方にできるだけ普通の姿勢で入っていただけるように用意しています。ストレッチャータイプはそれが難しい方のために設けています。
トイレは、姿勢を保つための背もたれ、アームレストを設け、便器両側の手すりと組合せて、便器からのずり落ち等をカバーしています。便座の移乗は縦手すりと両側の手すりなどで行うことを想定しています。もちろん、体の状態は人によって様々ですので、他の使い方もあるかと思います。洗面も車いすが使用できるものを設けています。
一部ではありますが「ふなおか」の紹介を致しました。ここまでお読みいただきありがとうございます。これ以外にもご利用者の方々に安心して過ごしてもらえるような配慮を随所に施した場となってます。
弊社は、このような大規模の高齢者施設だけではなく、小規模のグループホームや小規模多機能も手掛けています。また高齢者だけでなく、障害者施設、保育園などの福祉施設、また診療所などの医療施設も手掛けています。このように福祉・医療を中心に地域にねざした活動をこれからも続けてまいります。
ご相談などお気軽にご連絡を頂ければと存じます。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
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